2025年12月27日に予定されている井上尚弥 vs アラン・ピカソ戦。
その“前兆”は、実は 1年半前の東京ドーム興行にすべて詰まっていました。
・初回の衝撃ダウン
・モンスターの危機管理能力
・大舞台での対応力
・逆境からの組み立て方
・異質なサウスポー対策の完成度
これらはピカソ戦の大きなヒントになります。
この記事では、井上尚弥 vs ネリ戦の流れ・背景・会場の空気・専門家の反応を全まとめしつつ、ピカソ戦の予測にもつながるポイントを整理します。
2024年5月6日、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥選手が、元世界2階級制覇王者でWBC世界同級1位のルイス・ネリ(29)=メキシコ=に6回1分22秒TKO勝ちしました。
34年ぶりに東京ドームで行われたボクシングのメインイベントで、とてもスリリングな試合を見せて、興行的にも大成功だったんじゃないでしょうか?
この試合について、いろんな人たちがコメントやYouTubeを出しているので、まとめてみようと思います。
※2025年12月27日(土)に井上尚弥 vs アラン・ピカソの対戦が予定されていますが、その予習として1年半前に東京ドームで行われた井上尚弥 vs ルイス・ネリの試合の内容やそれまでの経緯を読んでもらうといいかな。と思います。

なぜ東京ドームは「番狂わせの会場」と呼ばれるのか
最初に書いた通り、今回の東京ドームでのボクシング興行は、34年ぶりでした。
前回の東京ドームでのメインイベントは、無敗の統一世界ヘビー級チャンピオンだったマイク・タイソンとジェームス・バスター・ダグラスの一戦。
世紀の大番狂わせと言われ、その会場として、世界中に東京ドームが記憶された一戦でした。
実は、この試合前、タイソンは調子悪かったんですよね。
当時、タイソンは無敗で統一チャンピオンになっていました。
そして、東京ドームでの試合は、日本で初めての試合でした。
だからかどうかわかりませんが、コンディションが良いとはとても思えない感じでした。
というか、なんか変な雰囲気がずーーっと漂っていました。
スパーリングで打ち込まれて、ダウンを取られたという話もありました。
公園で鳩を捕まえて喜んだりしていました。
なんか、闘志にかけているという感じがしていましたね。
で、かませ犬と思われていた、ジェームス・バスター・ダグラスに10回KO負けしてしまったわけです。
このことから、東京ドームには、ボクシングのアップセットの魔物がいるんじゃないのか?と言われていたわけです。
今回の会場の東京ドームには、こんな話があったので、ネリは「今回も番狂わせが起きる」とか言っていたわけです。
ルイス・ネリが“日本の悪童”と呼ばれた理由
今回、井上尚弥にTKO負けしたルイス・ネリは、日本との因縁があるボクサーでした。
その因縁は、今回の井上尚弥との対戦が決まってから、いつも言われていたことで周知のことですが、山中慎介選手との2回のタイトルマッチにまつわるものです。
2回ともルイス・ネリが勝ったのですが、1回目はドーピング、2回目は体重超過という”おきて破り”を繰り返しました。
このことで、完全にネリは日本のボクシングファンからすれば、「憎っくき存在」となったわけです。
ネリは、”神の左”と呼ばれる左ストレートが強烈な山中慎介選手をぶっ飛ばしてしまっていました。
これは、体重が重かったからなのか、パンチが強かったからなのか?
「体重が重い人が軽い人と戦うとこうなるよね。ずるいよね。」と思った記憶があります。
勝った後に、喜んでいたのも、気に入りませんでした。
あくまで体重超過というルール違反をしたのですから、申し訳なさそうにするべきだと思いました。
これは、最近WBC・S・ライト級王者デビン・ヘイニーに勝ったライアン・ガルシアにも同じ思いがしました。
ガルシアの場合は、体重超過+ドーピングのコンボですからね。
もう、ルール無用なので、さらにひどい。
最近、体重超過なんかが常態化していますけど、マジで危ないですからね。
ちゃんとルールを守ったうえで戦ってほしいです。
公開計量でわかったネリのコンディション
そんなことだったので、ネリがちゃんと体重を守るのかが注目されていました。
結果としては、何週間も前から事前計量を何度もする約束だったので、ネリはちゃんと体重を落としてきました。
でも、意外だったのが、リミット体重よりも500gもアンダーだったこと。
落としすぎじゃない?って思ってしまいました。
逆に調整失敗していて、当日動けないとか、体が薄くてボディが弱いんじゃないか?と。
計量の後のフェイスオフで、ネリの取り巻きが「New!」とか言っているのも鬱陶しかったです。
まぁ、ちゃんと体重を落としてくるのは当然なんですが。
今回は特に体重超過常習犯の悪童ネリということで、前日計量もいつも以上に注目されました。
試合のハイライト|初回ダウン〜6RKOまでの全流れ
心配されていた計量も無事終わり、井上尚弥 VS ルイス・ネリの試合は、正式に成立することとなりました。
試合展開は、もうご存じのとおり。
第1ラウンドにいきなり井上尚弥選手が、自身初めてのダウンを喫して、東京ドームが騒然とします。

「やっぱり、東京ドームは大番狂わせの地なのか?」と思った人も多かったでしょう。
でも、ここで井上尚弥選手がただの選手でないと思ったのは、全然あわててなかったこと。
さすがにびっくりしたでしょうし、ダメージも全くなかったわけではないでしょうが、対応が良かった。
すぐに立ち上がって再開して、打ち込まれるというのはよく見られるパターンですが、井上尚弥選手は8カウントまでゆっくり待った。

そして、再開された後も、直後はクリンチに徹して、たぶん自分の体の反応を見ていた。
そして、大丈夫かな?と思った後は、振り回してくるネリにアッパーなどのカウンターを合わせていました。
カウンターを2発もらったネリは、ちょっと一気にはムリと判断して少し攻勢を緩めたところで第1ラウンド終了。
自身初めてのダウンだったのに、ほぼベストの対応をしたところがモンスターのすごいところだと思いました。
続く、第2ラウンドが始まるところでは、既に井上尚弥選手は落ち着ていて、コーナーから出る前に「ホゥー!!」っと大きな声を出していました。
そして、落ち着いた第2ラウンドの途中で、井上尚弥選手はネリから、左フックでお返しのダウンを奪いました。

パンチ的にはそんなに効いたものではなく、ネリが右を大きく振ったのをかわした井上選手が、左フックをひっかけて、足がそろっていたネリが倒れた感じ。
でも、これで、点数的にもお互い1回ずつのダウンでイーブンに戻し、井上尚弥選手は精神的にも楽になったと思います。
あとは、3ラウンド以降、井上選手のペースになって、ドームの雰囲気をだんだん楽しんでいる感じが出てました。
ネリのパンチをかわした後、顔をノーガードで突き出して、「打って来いよ!」と言わんばかりのポーズもやってましたね。

5ラウンドには、強引に出てきたネリに的確にフックをあてて、2回目のダウン。
このダウンは、1回目のダウンより効いていましたね。
ネリは、5ラウンドは何とかKOを逃れたものの、6ラウンドにしっかり決められました。
最後は、右のアッパーからストレートの2発。
めちゃめちゃ速くてコンパクトだったのにもかかわらず、最後のストレートで首がずれてましたね。

ネリはマウスピースも吐き出して、誰が見ても立てそうになく、レフェリーのグリフィンさんがストップしました。
これで、勝負あり。最初はヒヤヒヤしたものの、井上尚弥選手が、結局は圧勝でした。
専門家が語った「モンスターの凄み」
井上尚弥 vs ルイス・ネリ戦のあと、国内外の専門家・OB・現役選手からは共通して “モンスターの異次元性” を示すコメントが相次ぎました。
とくに評価が集中したのは、次の3点です。
①「初回ダウンへの対応」が桁違いだった
元世界3階級王者・長谷川穂積さんは、Amazon Prime生配信中にこう語っています。
「事前にシミュレーションしていたにしても、あの舞台で落ち着きを保てるのは異常。
ふつうの選手なら前のめりになる場面で、彼は8カウントまできっちり呼吸を整えた。」
実際、井上選手は倒れた直後に焦らず、
**「立つ→呼吸→状況確認」**という理想的な手順を踏んでいました。
ダメージはあったはずですが、再開直後は無理に打ち合わず、クリンチで調整。
“経験値の高さ”と“冷静さ”がよく出た場面です。
②「修正力の速さ」が世界トップの証明だった
第2ラウンド開始時点で、井上選手はすでに表情が戻り、
コーナーで「ホーッ!」と声を出して気持ちを切り替えていました。
専門家が特に驚いたのはここ。
「1ラウンドで起きた問題を、2ラウンド開始までに全部修正してきた」
「ネリの癖を即座に掴み、アジャストしていった」(国内プロモーター)
そして第2ラウンドでは、見事な左フックで“お返しのダウン”。
あれは力任せではなく、ネリの大振りに合わせた“教科書通りのカウンター”でした。
③「決めるべき時のギアチェンジ」が反則級
5ラウンドの2度目のダウン、
6ラウンドのフィニッシュ――どちらも、
**「短く・速く・無駄がない」**パンチで、専門家の間でも話題に。
ある解説者はこう述べています。
「あのフィニッシュのストレートは、フォームが小さいのに破壊力が大きい。
井上尚弥にしか打てない“最短距離のKOパンチ”。」
パンチを読んで、かわして、最短距離で反撃する。
ボクシングの教科書の“完成形”のような動きでした。
まとめ:この試合が示した“モンスターの本質”
・どんな逆境でも崩れないメンタル
・一瞬で修正できる戦術IQ
・決めるべき場面で必ず決める勝負勘
専門家の反応は、ほぼすべてが「強い井上尚弥」ではなく、「完成された井上尚弥」という評価に集約されています。
ピカソ戦の予測につながるポイント
2025年12月27日に予定されている
井上尚弥 vs アラン・ピカソ
を前に、このネリ戦から読み取れる“未来へのヒント”がいくつかあります。
① ダウン経験が、むしろ“成長加速”につながっている
一度ダウンを喫したことで、井上選手の“逆境処理能力”がさらに磨かれたと言われています。
ピカソは、タイミング重視のパンチャーで、飛び込みの左フックやカウンターが得意。
ネリ戦での経験は、
・不用意なもらいパンチの警戒
・距離取りの調整
・序盤の慎重さのコントロール
これらに確実に活かされるはずです。
② 「大振りに対するカウンター精度」が鍵になる
ピカソは攻撃が大振りになりやすく、
そこに井上選手の得意とする“ショートのカウンター”がハマりやすい。
ネリ戦の第2ラウンドで見せた左フック。
あのタイミングは、ピカソ戦でも再現される可能性が高いです。
「相手が振り切ったところに、もっと短い軌道で差し込む」
——これは井上選手の必勝パターン。
③ 「スタミナ管理とギアチェンジ」も好材料
ネリ戦では、序盤でのダウンにもかかわらず、
後半に向けてしっかりギアを上げられる余力が残っていました。
ピカソは試合後半にリズムを作るタイプのため、
井上選手のこの“後半の強さ”は決定的な優位につながります。
④ 東京ドーム戦が、ピカソ戦への最高の“予習”になっている
1年半前のネリ戦は
・大舞台
・逆境
・強打者
という“三重苦”の中での勝利。
これはピカソ戦に向けて、最も価値のあるアップデートです。
精神面も技術面も、**「どんな状況でも崩れない自分」**を証明した試合だったとも言えます。
こうぷー




























































































































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