日本の企業の収益が好調なようです。
でも、あまりその実感が庶民には湧かない。
その理由は、給料が上がらないから。
会社は円安で、特に輸出企業は収益が堅調であり、まだ第1四半期が終わったばっかりなのに、今年度の業績を上方修正しています。
それでも、労働者の給与は上がらない。
一方で、円安によって、物価が上がって、生活は苦しくなっています。
このため、岸田内閣の支持率は下がっている。
どうしてこのようなことになっているかという記事を今日は取り上げようと思います。
まずは記事全体を読んでみたいと思います。
最近の決算報告における日本の主要企業の堅実な利益は、世界的な景気後退のリスクがあるため、広範な部門で短期的な賃金上昇につながる可能性は低く、物価上昇の影響を鈍らせるための岸田文雄首相の賃上げへの期待を打ち砕く.
The Japanese currency’s drop to 24-year lows against the U.S. dollar has served as a major profit driver for some blue-chip companies, boosting profits earned overseas and inflating the value of assets held abroad in yen terms.
米ドルに対する日本円の 24 年ぶりの安値への下落は、一部の優良企業にとって主要な利益の原動力となっており、海外で稼いだ利益を押し上げ、海外で保有する資産の価値を円換算で膨らませています。
Companies from automakers and components suppliers to energy companies reported upbeat earnings for the April-June quarter and revised upward full-year projections, driven by the yen’s slide.
自動車メーカーや部品サプライヤーからエネルギー企業までの企業は、4月から6月の四半期の収益が好調であり、円安に牽引されて通期の見通しを上方修正した.
Salary increases are a pillar of his government’s efforts to mitigate the impact of rising commodity and food prices, which pose a major challenge for Kishida and were partly responsible for his Cabinet’s approval rating slumping to a low of 51 percent in a News survey last month.
昇給は、岸田氏にとって大きな課題であり、先月のニュースの調査で内閣の支持率が51%の低さに落ち込んだ一因となった、商品と食料価格の上昇の影響を緩和するための政府の取り組みの柱です。
But economists say the current solid earnings are likely to provide limited room for pay hikes. The gloomy global economic outlook on the back of inflation and the impact of the prolonged war in Ukraine are likely leave top executives cautious about increasing personnel costs.
しかし、エコノミストは、現在の堅実な収益は、賃上げの余地を限定的に提供する可能性が高いと述べています。インフレと長引くウクライナ内戦の影響による世界経済の見通しの暗さから、経営陣は人件費の増加に慎重になっているようです。
では、1文ずつ文章を細かく見ていこうと思います。
最近の決算報告における日本の主要企業の堅実な利益(solid profits at major Japanese companies in recent earnings reports)は、世界的な景気後退のリスクがあるため(due to the risk of a global recession)、広範な部門で短期的な賃金上昇につながる可能性は低く(are unlikely to translate into near-term wage hikes)、物価上昇の影響を鈍らせるための(to blunt the impact of rising prices)岸田文雄首相の賃上げへの期待を打ち砕く(dashing Prime Minister Fumio Kishida’s hopes for higher pay)。
日本の主要な企業では、堅調な利益の決算報告が出ています。
でも、一方で、賃金上昇につながる可能性は少ないとこの記事では言っています。
岸田総理大臣は、物価上昇で生活が苦しくなっている庶民のためには、賃金上昇が必要だと考えていてる。
でも、企業側は、世界景気の後退のリスクを理由に賃上げをするつもりがないようです。
昨日、アメリカのFRBの金利政策の話題を取り上げました。パウエルFRB議長は、リセッション(不況)ではないと強調していました。でも、引き続いて、アメリカでは、景気後退の懸念が広がっています。消費者の購買が弱い。これが、景気後退の要因となっている見方が出てきています。今日はこの話題を取り上げようと思います。まずは記事全体を読んでみたいと思います。The White House is sure the economy is not in a recession nor headed for one. Wall Street is pretty sure there is no recession now, but isn’t as positive abo... 【英字新聞を読む】数字は、米国経済が景気後退(リセッション)に陥っていること... - こうぷーぶろぐ |
“solid profits at Japanese companies in recent earnings reports”で「最近の決算報告における日本の主要な企業の堅実な利益」と表現しています。
“solid”は「固い、固形の」という意味から、「堅実な、確かな、信頼できる」というような意味があります。
米ドルに対する日本円の 24 年ぶりの安値への下落は、一部の優良企業にとって主要な利益の原動力となっており(has served as a major profit driver for some blue-chip companies)、海外で稼いだ利益を押し上げ(boosting profits earned overseas)、海外で保有する資産の価値を円換算で膨らませています(inflating the value of assets held abroad in yen terms)。
日本の主要な企業の業績が堅調なのは、24年ぶりの円安が一つの要因。
輸出する企業にとっては、円安は売り上げの増加に結びつきます。
そして、海外、特に米ドルで売り上げた場合、円に換算すると価値が膨らみます。
例えば1ドル100円であれば、海外で1ドルのものを打った場合、100円が収入ですが、1ドルが150円になると1ドルのものを売ると150円の収入になる。
実に、円ドル相場の違いで売り上げが1.5倍になるということです。
“has served as a major profit driver for some blue-chip companies”で「一部の優良企業にとって主要な利益の原動力になっている」と訳しています。
“serve”は「仕える、勤める」という意味のほか、「役割を果たす」という意味もあります。
“blue-chip”は「優良な」という意味。ポーカーの青いチップは価値が高いからだそうです。
自動車メーカーや部品サプライヤーからエネルギー企業までの企業は、4月から6月の四半期の収益が好調であり(reported upbeat earning for the April-June quarter)、円安に牽引されて通期の見通しを上方修正した(revised upward full-year projections driven by the yen’s slide).
自動車メーカーやそれに付随して部品のサプライヤーは好調。
さらにエネルギー企業も円安で好調だということです。
なので、新年度が始まってからの第1四半期でかなりの収益増が見込まれ、通期見通しの上方修正をした。
“reported upbeat earning for the April-June quarter”で「4月から6月の四半期の収益が好調である」と訳しています。
“upbeat”は音楽の「アップビート」から来ていますが、「景気などが好調である」という意味があります。
昇給は、岸田氏にとって大きな課題であり(which pose a major challenge for Kishida)、先月のニュースの調査で内閣の支持率が51%の低さに落ち込んだ一因となった、商品と食料価格の上昇の影響を緩和するための(to mitigate the impact of rising commodity and food prices)政府の取り組みの柱です(are a pillar of his government’s efforts)。
給与アップというのは、岸田内閣の大きな課題である。
商品や食料価格などの物価が上昇している中で、給与が上がらないということが内閣の支持率の低下に結びついている。
インフレなのに、給与だけが上がらないということに有効な対策がないということで、支持率が下がっています。
なので、昇給というのは、岸田総理大臣にとって、とても重要な取り組みの柱だということです。
“which pose a major challenge for Kishida”で「岸田氏にとって大きな課題である」と訳しています。
“pose”は「ポーズを取る」という有名な意味のほかに、「引き起こす、もたらす、課す」という意味があります。
しかし、エコノミストは、現在の堅実な収益は、賃上げの余地を限定的に提供する可能性が高い(are likely to provide limited room for pay hike)と述べています。インフレと長引くウクライナ内戦の影響による(on the back of inflation and the impact of the prolonged war in Ukraine)世界経済の見通しの暗さ(the gloomy global economic outlook)から、経営陣は人件費の増加に慎重になっているようです(are likely leave top executives cautious about increasing personnel costs)。
日本の主要な企業は、今年度の第1四半期に円安によって、好調な収益を上げている。
そして、今年度の業績を上方修正するまでになっている。
それでも、エコノミストは、賃上げの余地は限定的だろうと予測している。
理由は、アメリカなどのかなりのインフレとウクライナ情勢が長引いていることから、世界経済の見通しが暗いと見ているから。
慎重になった経営陣は、一旦上げると下げることが難しい人件費の増加には慎重になっているようです。
“are likely to provide limited room for pay hike”で「賃上げの余地を限定的に提供する可能性が高い」と訳しています。
ここでの”room”は「部屋」という意味ではなくて、「余地、余裕、可能性」などの意味です。
今日は、日本の主要な企業が収益が好調なのに、それが賃上げには結びつきそうにないという話題を取り上げました。
今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
こうぷー
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