
今回のBizmates Level5のテーマは “True Champion”。
登場するのは、将来を嘱望された若き大学アスリート、Cameron Lyle。
彼は大きな大会を目前にしながら、自らの競技人生を一時的に手放す決断をしました。
その理由は、見知らぬ誰かの命に、自分の未来が重なったからです。
このストーリーは「良い話」として消費することもできます。
しかし本質はそこではありません。
成功とは何か。
チャンピオンとは何を指すのか。
自分の強みは、どこで使うべきなのか。
Level5らしい抽象度の高いテーマを通して、
「自分の人生をどう使うか」という問いが、静かに投げかけられます。
英語を学ぶことは、単に語彙や表現を増やすことではありません。
こうしたテーマに、自分の言葉で向き合えるかどうか。
それこそが、このレベルのトレーニングの本質なのだと思います。
✏️ レッスンの特徴と難易度
■ 今回のトピック
本レッスンの主題は、「真のチャンピオンとは何か」という問いです。
取り上げられているのは、アメリカの大学陸上選手 Cameron Lyle。
将来有望なアスリートとして大舞台を目前に控えながら、骨髄ドナーとして見知らぬ白血病患者を救う決断をした人物です。
扱われている社会テーマは以下の通りです。
- 骨髄ドナー制度
- 慈善活動と個人の責任
- 犠牲と自己実現
- 成功の再定義
-
リーダーシップの本質
単なる美談ではなく、「強みをどう使うか」という倫理的テーマが中心にあります。
■ 難易度
★★★★☆(4/5)
抽象度が高く、感情・価値観・責任といったテーマを扱います。
求められる力:
- 意見を論理的に述べる力
- バランス思考(自己と他者)
- 仮定法での想定回答
- 抽象概念を言語化する力
Level5らしく、「正解を言う」のではなく、「自分の立場を構築する」力が試されます。
■ 内容の特徴
- 社会貢献とキャリアの対比
- “sacrifice” の本質的意味
- 義務感(duty)という概念
- 不確実性の中での決断
- 人助けの連鎖(Donor registrants tripled)
人物紹介というより、「価値観の選択」に焦点が置かれています。
■ 語彙レベル
中上級〜上級レベル
代表語彙:
- sacrifice(犠牲)
- match(適合者)
- full recovery(完全回復)
- activist(活動家)
- self-fulfillment(自己充足)
- obligation / duty(義務)
- go viral(拡散する)
抽象語が多く、感情や理念を説明する語彙力が必要です。
■ 今回の重要フレーズ
“There’s a bigger picture out there than just you.”
✔ 意味
自分だけが世界の中心ではない。もっと大きな全体像がある。
✔ ニュアンス(語ごとに分解)
- bigger picture:全体像・長期視点
- out there:自分の外側に存在する
- than just you:自分だけよりも
👉 思考的示唆
「自分の成功」だけでなく、
社会全体の中で自分をどう位置づけるか、という問い。
✔ 社会・ビジネスへの示唆
短期利益より長期的影響。
個人最適より全体最適。
リーダーは常に“bigger picture”を見る。
✔ 会話で使える応用例
We need to look at the bigger picture instead of focusing only on short-term results.
✔ レッスンでの答え方ヒント
単なる「人を助けましょう」では弱い。
「長期視点」「社会全体」「役割」という抽象語を入れるとLevel5らしい回答になります。
■ ストーリー要点まとめ
将来を嘱望された大学陸上選手 Cameron Lyle は、
大会直前という重要なタイミングで、自身の競技人生を一時的に中断する決断をしました。
理由は、骨髄ドナーとして白血病患者に適合したからです。
数年前に軽い気持ちで登録した National Marrow Donor Program。
適合する確率は非常に低く、本人も忘れていました。
しかし、28歳の患者とマッチしたという知らせが届きます。
- 患者の余命は数か月
- 成功の保証はない
- 手術は痛みを伴い、通常の225倍以上の骨髄を提供
- 大会は目前
それでも彼は決断します。
結果として、
- 手術は成功
- 患者は完全回復
- 物語は拡散
- ドナー登録者は3倍に増加
Be The Match
彼はその後、自らが登録していた同じNPOで活動家としても活動を始めました。
この物語は「夢を諦めた話」ではありません。
それは、
- 成功の再定義
- 強みの使い方の選択
- 個人の行動が社会に波及する連鎖
を描いたストーリーです。
⭐ 象徴的なメッセージ
True champions are defined not by victory, but by the choices they make.
本当のチャンピオンは、勝利ではなく、選択で決まる。
■ このストーリーから感じたこと
この物語を「感動的な美談」として受け取るのは簡単です。
しかし、Level5で問われているのは、もう一段深い部分だと感じました。
Cameronは「成功」を目前にしていました。
大会で勝つこと。記録を残すこと。キャリアを築くこと。
それは誰もが理解しやすい成功です。
しかし彼は、もう一つの選択肢を見ました。
それは、「自分の強みをどこで使うか」という問いです。
彼の身体的な強さ、健康、若さ。
それは競技のための資源でもありましたが、
同時に、誰かの命を救うための資源でもありました。
ここで見えてくるのは、
成功 → 影響力 → 責任 → 使命
この順番を逆に生きる人は、意外と少ない。
強みを持つことは、
それをどこで使うかを選ぶ責任を伴う。
だからこそ、この話は単なる慈善活動ではなく、
「使命の選択」の物語なのだと思います。
また、彼の決断は“自己犠牲”というよりも、
「より大きな視点を選んだ」と言った方が近いかもしれません。
There’s a bigger picture out there than just you.
この言葉が、静かに重なります。
英語でこうしたテーマに向き合うことは、
語彙力以上に、「自分の価値観を整理する力」を鍛えることになります。
Level5は、英語力のトレーニングであると同時に、
思考のトレーニングでもあるのだと改めて感じました。
■ 受講者が戸惑いやすいポイント
① sacrifice のニュアンスの広さ
“sacrifice” は単なる「犠牲」ではありません。
完全に失うという意味にも、一時的に手放すという意味にも使われます。
今回の場合は「人生を失う」ではなく、
「競技の機会を一時的に手放す」という意味合いが強い。
抽象度が高いため、日本語の「犠牲」と直結させると重くなりすぎます。
言い換え例:
He temporarily gave up his athletic opportunity to save someone’s life.
② duty(義務)という概念
“duty” は法律的義務ではなく、
道徳的責任に近いニュアンスです。
「やらなければ罰せられる」ではなく、
「自分がやるべきだと感じた」という内的判断。
英語では moral responsibility と言い換えると整理しやすいです。
③ self-fulfillment の扱い
「犠牲=自己実現につながる」と単純化すると浅くなります。
Level5では、
- always?
- why or why not?
と問われています。
バランス思考が求められるため、
一方向に断定すると議論が止まりやすい。
言い換え例:
Sacrificing for others can lead to fulfillment, but it depends on the situation.
④ bigger picture の抽象性
“bigger picture” は直訳すると理解しづらい。
これは、
- 長期視点
- 全体最適
- 社会的視野
を含む比喩表現です。
抽象度が高いため、
「人を助けよう」という短絡的解釈に陥りやすい。
言い換え例:
We need to consider the long-term impact on society.
Level5では、「正しい答え」を言うよりも、
概念を整理して、自分の立場を構築することが重要です。
■ ディスカッションで使える回答例
■ 質問
How do you think Cameron felt when he made his decision?
シンプル回答
I think he felt it was his duty to help someone in need.
発展回答
At first, he may have felt conflicted because he was about to compete in an important event. However, once he realized that he was the only match, he probably felt a strong moral responsibility. In the end, he chose to prioritize saving a life over personal success.
■ 質問
Does sacrificing for others always lead to self-fulfillment? Why or why not?
シンプル回答
Not always. It depends on the situation and the intention behind the sacrifice.
発展回答
Sacrificing for others can bring fulfillment when it aligns with your values. However, if you constantly ignore your own needs, it may lead to burnout. I believe a balance between helping others and taking care of yourself is important.
■ 質問
What kind of donor programs or initiatives are there in your country?
シンプル回答
In Japan, we have a marrow donor program and organ donation initiatives.
発展回答
Japan has a national marrow donor program called the Marrow Bank. We also have organ donation systems where people can indicate their willingness on their driver’s license or health insurance card. These programs aim to increase awareness and save lives.
■ 質問
Have you ever donated blood or participated in a charity event?
シンプル回答
Yes, I have donated blood several times.
発展回答
I have donated blood more than 30 times. In Japan, donors receive a free blood test, so it also helps me check my health. Even though my motivation was partly practical, I am glad that it may have helped someone.
■ 質問
Imagine you were in the same situation as Cameron. What would you do and why?
シンプル回答
I would probably make the same decision as Cameron.
発展回答
If I knew I could save someone’s life, I would choose to help, even if it meant giving up an important opportunity. While it would be a difficult decision, I believe contributing to someone’s survival would have a deeper meaning than personal achievement.
■ このテーマから得られる視点
成功とは何か
成功は、勝つことや評価されることだけではありません。
Cameronの選択は、「成功の再定義」を私たちに促します。
大会で勝つことも成功。
しかし、誰かの命を救うこともまた成功。
むしろ、どちらを選ぶかという“選択”そのものが、その人の成功観を表しているのかもしれません。
強みとは何か
強みとは、自分のために使う資源であると同時に、
社会のために使うことができる資源でもあります。
健康、若さ、才能、時間。
それらは競争のための武器にもなりますが、
誰かを支える力にもなります。
強みを持つことは、
「どこで使うか」を選ぶ責任を伴う。
それがこのレッスンの核心だと感じました。
長期視点とは何か
bigger picture とは、
短期的な成果を超えた視点のこと。
一度の大会よりも、
一人の命を救うこと。
個人の栄誉よりも、
社会への影響。
長期視点で考えることは、
人生の優先順位を整理することでもあります。
Level5の学びは、単なる英語力向上ではありません。
抽象的なテーマに対して、
- 自分はどう考えるのか
- 何を優先するのか
- どんな価値観を持っているのか
を英語で整理できるようになること。
それこそが、このレベルの本質的なトレーニングなのだと思います。
✏️ 学びとして残ったこと
✔ 成功は「結果」ではなく、「どの選択をしたか」で定義されることがある
✔ sacrifice は単なる犠牲ではなく、「優先順位の再配置」でもある
✔ duty は外から課される義務ではなく、自分の内側から生まれる責任感である
✔ bigger picture という視点を持つと、目の前の損失が別の意味を持ち始める
✔ 英語で価値観を語ることは、自分の思考を客観視する訓練になる
✏️ 次回に向けて
Level5は、語彙や文法の難易度だけが上がるレベルではありません。
問われているのは、
- 抽象テーマをどう整理するか
- バランス思考をどう構築するか
- 自分の価値観をどう言語化するか
という「思考の筋力」です。
今回のテーマは “True Champion”。
次回もまた、社会課題や人物の選択を通して、
「自分ならどう答えるか」を問われるはずです。
英語を学ぶことは、
正しい英文を作ることではなく、
自分の立場を持てるようになること。
Level5はそのトレーニングの場です。
次のレッスンでも、
- 結論を急がず
- 極端に振れず
- 抽象と具体を往復しながら
静かに、自分の言葉を磨いていきたいと思います。



























































































































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