僕は、現在、断酒を始めて430日を超えたところです。(2020年11月4日現在)
これまで、何回も断酒をしようとして、失敗を続けてきました。
これまでの僕の経験でも、断酒生活をしばらく続けていると、ある疑問が浮かんでくることがあります。
それは、「これだけの期間、お酒をやめられるようになったのだから、もう、少しぐらいは飲んでも大丈夫なんじゃないか?」という疑問です。
実は、これって、結構、断酒をやっている人にとっては、あるあるな話です。
だいたいの思考は、こんな感じで進みます。
- 自分は、お酒をある程度の期間、やめられるようになった。
- すなわち、もう、お酒のコントロールをできるようになったんじゃないか?
- だったら、今度は、お酒を上手に飲めるのではないか?
では、この思考って、本当に正しいんでしょうか?
本当に今度は、きちんとコントロールして上手にお酒が飲めるようになるんでしょうか?
今日は、この疑問に答えるために、「節酒じゃダメなのか?という疑問をどう考えるか?」ということについて、書いてみようと思います。
お酒で問題があったから、断酒をしないといけなくなったはず
まず、そもそも、断酒を考えないといけなくなるような状況になったのはなぜだったのでしょうか?
たいていの場合、何らかのお酒の問題があったはずだと思います。
例えば、これまでに、次のようなことがあったのではないでしょうか?
- お酒を飲みすぎて、いつも記憶がなくなってしまう
- ほかの人とトラブルになってしまう
- 飲みだしたら、とことんまで飲まないと、止まらない
- 肝臓など、体を壊してしまった
- 休肝日など、飲まない日を作ることができない
- お金にみさかいなく飲んでしまう
- お酒を飲むと、暴言・暴力をする
- 手が震えるなどの離脱症状が出た
- などなど…
そんな問題があったから、お酒をやめることを考えないといけなくなったのではなかったでしょうか?
そして、その結果、お酒をやめるという決断をしたのではなかったでしょうか?
それまでに、飲酒に関してに全く問題がなかったのであれば、断酒を決意する必要もなかったはずです。
そもそも、かなりの問題があったはずです。
だから、節酒ではなく、断酒を選ばずを得なかったというのが、本当のところだと思います。
それにもかかわらず、今度は上手に飲むことができるのでしょうか?
一定期間お酒をやめることができたからといって…。
そもそも、今、うまく飲めるのであれば、以前もうまく飲めたはずですよね。
それができなかったから、やめるという決断までしなければなかったのではないでしょうか?
それが一時期と思っていたとしても…。
お酒を今度はうまく飲めると考える前に、その辺を、まず最初に十分考え直す必要があります。
アルコール依存症なのかどうか?
では、お酒の飲み方に問題があった自分自身は、いったい、アルコール依存症なのでしょうか?
そんな疑問が湧いてくると思います。
世の中には、アルコール依存症の可能性があるのかどうかを判断する方法がいくつかあります。
それも、自分で簡単に判断できるようなチェック方法です。
正式な判断は専門医にしてもらうことが必要です。
でも、自分のアルコールの依存度がどの程度なのかを自分で知るのには有効です。
チェック方法には、いろんな方法があります。
中でも最も簡単な方法が「CAGE」というチェック方法です。
次の4つの質問に答えてみてください。
- 飲酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか
- 他人があなたの飲酒を非難するので気にさわったことがありますか
- 自分の飲酒について悪いとか申し訳ないと感じたことがありますか
- 神経を落ち着かせたり,二日酔いを治すために, 「迎え酒」をしたことがありますか
いくつ当てはまる項目があったでしょうか?
CAGEによると、「このうち2つ以上当てはまる場合には、アルコール依存症の可能性がある」といわれています。
意外に低い点数だと思いませんか?
お酒をそれなりに飲む人であれば、容易に2項目ぐらい当てはまってしまうと思います。
アルコール依存症である可能性というのは、結構ハードルの低いものなのです。
このチェック方法からもわかるように…。
前述したような、お酒で問題があったという人は、ほぼ全員2項目以上ではないでしょうか?
それどころか、全項目当てはまってしまう人も多いと思います。
ですから、過去にお酒で問題があった人は、アルコール依存症の可能性が高いです。
そう考えたほうがいいと思います。
お酒はうまく付き合ってさえいれば、リラックスできるし、楽しく過ごせるし、いいものです。でも、お酒に依存したり、のめり込んだりしてしまうと、お酒にまつわる、いろいろな問題が出てきます。健康に問題が出てきたり、人間関係に問題が出てきたり、ひどい場合には暴言や暴力の問題がおこることもあります。そのような問題が起こるようになると、周りの人から、お酒を控えるように言われたり、自分自身でも、「お酒をやめなければならないのかな?」と思ったりするようになると思います。一方で、そうは言われても、自分自身では、... 【断酒の現実】お酒をやめる理由【なぜお酒をやめないといけないのか?】 - こうぷーぶろぐ |
そのほかにも、アルコール依存症の可能性があるかどうかの自己診断ができるページはいくつもあります。
「アルコール依存症治療ナビ」は、アルコール依存症のセルフチェックや一般的な診察フロー、断酒体験記、専門医療機関を検索出来る病院情報を情報提供しています。日本新薬株式会社が運営。 アルコール依存症治療ナビ - アルコール依存症治療ナビ |
依存症ならば、完治することはないと言われている
さて、アルコール依存症は、お酒を飲むことのコントロール障害だと言われています。
すなわち、アルコール依存症になってしまうと、お酒を飲むことをコントロールすることができない。
そんな風に言われています。
さらに、これは、脳の障害で、現在の医学では、完治させることができないと言われています。
簡単に言えば、脳の中の、アルコールを適度に飲んでコントロールするという部分が壊れてしまっているということです。
ですから、しばらくお酒をやめることができたからと言っても、基本的に脳の機能が修復されることはないのです。
では、その脳のお酒をコントロールするという機能が壊れたままで、再び、お酒を飲んだらどういうことになるのでしょうか?
再飲酒を始めてからしばらくは、上手にお酒を飲むことができるかもしれません。
「今度はうまく飲んでやろう!」という強い意思が働くからです。
でも、徐々にお酒の飲み方は、以前の状態に戻っていきます。
そして、結局は、問題のあったときの飲み方に、逆戻りしてしまいます。
これは、本当に「断酒の経験者の中では、あるあるな話」です。
残念ながら、断酒をしたあと、うまくお酒を飲めるようになったという話を聞いたことがありません。
今までも、数えきれないほどの人がこのチャレンジしてきました。
そして、元のように、問題のある飲み方に戻ってしまっています。
ですから、今の医学の状況では、お酒の飲み方に問題があった人が、節酒をするというのは、不可能だと考えられています。
節酒で問題なく飲酒をするというのは、ムリなのです。
たとえ、一定期間、断酒をすることができたとしても…。
そもそも、コントロールできるならば、問題を起こしていない
これまでにも書いてきた通り、そもそも、お酒を適切にコントロールして飲める人は、お酒に関する問題を起こすことはないハズです。
お酒を飲むのをコントロールできなかったから、いろんな問題が起こっているのです。
それは、脳の中のお酒を飲むのをコントロールする機能が、壊れてしまっていることが原因だと考えられています。
ですから、お酒をうまく飲むという機能が壊れてしまっているので無理なのです。
一度お酒をうまくコントロールする機能を壊してしまった人には…。
それはちょうど、ブレーキの壊れた車のようなものかもしれません。
ですから、過去にお酒を飲んでいろんな問題を発生させてしまっている人は、もう、お酒をうまくコントロールして飲むことは不可能な可能性が高いです。
そして、壊れてしまった脳の機能を修復する方法が、現在の医学ではかなわないのであれば、冷たいようですが、断酒をするしかないのです。
ブレーキの壊れた車は走らせてはいけない。
止まることができないですから…。
ですから、過去にお酒で問題があった人が断酒を一定期間行った後に、節酒でやっていけるか?という疑問に対する答えは、”NO”です。
別の角度から考えてみれば、「再び、お酒を何とかして飲めるようになりたい」と思っている時点で、結局、お酒に依存してしまっていることがわかります。
本当にお酒に依存がないのであれば、お酒のことにそこまで引っ張られることはないハズです。
ちょっと、禅問答みたいになりましたが、お酒のことばっかり考えている時点で、精神的に相当お酒に依存しているということの証明だと思います。
ですから、そのような状態で、次は節酒でうまくお酒をコントロールするというのは、そもそもムリだと思います。
今回、お酒を上手にコントロールして飲めるのであれば、すでに以前から、問題なくお酒を飲めていたハズなのです。
そして、お酒で問題を起こすことはなかったハズなのです。
僕の場合
僕は、今から約9年前に、慢性膵炎になってしまって、お酒を飲めない体になってしまいました。
ですから、お酒で体を壊してしまって飲めなくなったパターンの人間です。
僕は、慢性膵炎になって2か月間入院した後、4年間断酒をしていました。
お酒の怖さの知識はなかったものの、慢性膵炎がが再発することが怖かったこと、膵がんが発生する可能性が高まることが怖かったからです。
でも、4年後、今日のテーマと同じように、実は「節酒で上手にお酒を飲めるんじゃないか?」と思ってしまいました。
そして、再飲酒をはじめ、それから約4年間、お酒をやめることができず、隠れ飲みを続けてしまいました。
僕の場合は、「お酒を飲むことは膵臓に悪い」という、明確な理由があるにも関わらず、家族に隠れてお酒を飲んでしまっていたのです。
そして、自分に都合のいいことばっかりを見て、隠れてお酒を飲み続けていました。
お酒を飲んでも、膵炎が再び起こらないじゃないかとか、血液検査の数値に異常がないじゃないかとか…。
お酒を隠れ飲みしている間も、いつかは、お酒を飲むということに納得(満足)して、飲酒をやめることができると思っていました。
でも、その日は決して来ませんでした。
どんどん、どんどん、元通り、毎日お酒を飲むという生活に戻っていきました。
ですから、コントロールすることはムリなんです。
必ず、徐々に、ゆっくりでも、元に戻ってしまいます。
でも、隠れて飲酒をするということを4年間続けて、ようやく気づくことができました。
「お酒を飲むと、確実に膵臓にダメージを与えると言われているのに、お酒を飲んでしまうということ自体が問題だ」ということ…。
そして、去年の8月26日から、再び断酒をすることを決意し、やっと1年を経過して、その後も断酒を継続できています。
今でも、たまには、「お酒を飲みたいなぁ。」と思うこともあります。
でも、僕はもう、お酒を飲む生活に戻るつもりはありません。
お酒を飲まないことでのメリットもたくさんあるし、そのほうが健康的ですから…。
僕は、断酒・禁酒をして4年半以上になります。13年ぐらい前に僕は、慢性膵炎を患いました。それによって、お酒をやめなければならなくなりました。しかし、慢性膵炎になってから4年ぐらいたった後、体も健康になり、もう、お酒を飲んでも大丈夫なんじゃないか?と勝手に思い始め、家族に隠れて再び飲酒を始めてしまいました。その後、お酒をやめなければならないのにも関わらず、約4年間に亘って、お酒をやめることができませんでした。隠れ飲みを見つかっては、断酒をし、そしてまた隠れ飲みをするということを繰り返しました。家族に... 【断酒・禁酒の現実】 お酒をやめたら何かいいことあるの?【メリットはいろいろあ... - こうぷーぶろぐ |
お酒がなくても、楽しい人生を送ることができているので、これからも断酒を続けていこうと思っています。
まとめ
今日は、「節酒じゃダメなのか?という疑問をどう考えるか?」ということについて、書いてきました。
結論としては、かつてお酒で問題があった人が断酒をした後、節酒を続けていくことはムリだと思います。
とても残念ではありますが、お酒に依存してしまっている段階で、脳の機能に障害が起こっているので、現在の医学で完治させることはできません。
僕も、最初にそれを聞いた時には、「一生お酒を飲めないなんて、絶望的だ!」とまで思いました。
でも、何度も断酒に失敗をしている中で、自分のお酒への執着の強さに気付きました。
お酒をやめるというのは、本当に難しいです。
僕は去年の8月の末から断酒を始めて、今日で322日目(7月22日現在)です。これまで、1年近く断酒をずっと続けてきました。でも、毎日生活する中で、お酒をやめるということを続けることの難しさを感じることがあります。他の断酒を続けている人の話を聞いても、みんなそれぞれ、いろんな難しさを抱えています。まず、基本的に、人間が一度知ってしまった快楽を抑制し続けるということは、とても難しいことです。特にお酒は、一度依存してしまうと、それから逃れるのは本当に至難の業です。今日は「断酒を続けることの難しさ」について... 【断酒1年継続者が感じる】断酒を続けることの難しさ - こうぷーぶろぐ |
でも、逆に言えば、それだけ、お酒に依存してしまっているということです。
節酒という、中途半端な対応では、必ず、お酒にまた元の状態に、引き戻されてしまいます。
それなら、すっぱりあきらめて、お酒のない生活を楽しみましょう。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。
こうぷー
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